nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。

ウインドレス鶏舎の管理 衛生管理の基本

最近は、ウインドレス鶏舎による飼養管理が多くなり養鶏経営の基本となりつつあります。
病気の遮断と人工的で適切な環境維持から、採卵鶏の生産能力を最大限に引き出すことで生産性の向上と、作業に従事する人のノウハウや職人技と呼ばれる技も必要なくなり、最低限の人員配置と作業従事で運用できることから建設費用は増大であっても最終的にコストを回収できる見込みもあって建設されている農場も多いことでしょう。


衛生管理の基本として、病気を入れないと言う点では遮断した環境ではとても効果が期待できます。しかし小動物による汚染や換気システムの方法等により汚染された菌類が拡散し蔓延することもあり、一般的に環境汚染度は高い鶏舎と位置づけされており便利である反面十分に認識なく取り扱う場合、大きな損害を及ぼすこともあります。


特に小動物からの汚染対策はとても重要でいわゆるネズミの対策をおろそかにした場合の損害は大きいと言えます。
建設時からその点を意識して部材の選定や工法を指示する農場もありますが、多くは開場時には想定しなかったネズミの行動に驚かれていることが多いのが本音かもしれません。


農林水産省が平成19年に採卵鶏農場の菌保有状況調査では、338農場400鶏群のうち、農場サルモネラ保有率は21%で、無窓(ウインドレス)鶏舎は52%が保有していると公表しています。(開放鶏舎では10%)
つまり、保有している21%農場の半分はウインドレス鶏舎での汚染であると言えるのです。


サルモネラ菌保有していると言う話ではありません。

大事なのはそれだけ常在化しやすいということなのです。


換気システムを見ればわかりますが、特定の換気窓から空気を入れて特定の出口で排出するため、開放鶏舎と比べ空気の入れ替えが頻繁でないことが分かります。

空気に混ざり菌類が排出され鶏舎内に0%の菌の残存ではなく、いくらかの菌は鶏舎から離れ増殖度が変わるのです。
そうでなければ、温度調節もできませんでしょうし、最適な環境を整えることはできません。


採卵鶏に最高のパフォーマンスを与えるには、「良いエサ」「良い水」「良い空気」と言われます。


それは、開放鶏舎からの話と言えましょうが、実は無窓であっても同じです。

なにしろ鶏は同じだからです。


しかし、近年は作業者の十分な衛生管理の基本が薄くなり、ねずみの繁殖から汚染はもとより、器具の破損(多くは断線による故障)もあり、バランスよい環境が損なわれて結果開放鶏舎のほうが成績が良いという皮肉も聞かれます。


また鶏を見るということを忘れる農場も多くなり、数値(餌の摂取や飲水量、生産性)を追い求めるに特化し、大事なポイントを見落とすという基本部分が薄れる農場も見られます。


このことから、一部の養鶏家の方々は鶏のパフォーマンスより低いが安定した生産性を求めるという現状に合わせた基準を示すところもあります。どちらが経営上得なのかはわかりませんが、ひところに比べ人の能力により生産性の方針が結果下方修正している(しなければならない実情)ところもあります。

 

鶏の生産の能力は年々向上しています。

親鶏メーカも自信をもってピーク産卵率93%~96%といいますし、ピーク後の持続率も良くなっているといいます。

実際その通りで強制換羽しなくても安定した生産が期待できるような時代になりました。


鶏卵の重量も63g生涯というところもあり、日本での消費者を意識した改良が進んでいると感じます。

 

さて、本日の衛生管理の基本ですが、鶏舎内を清掃することは当たり前の話です。

ホコリの搬出は基本でもありネズミの巣材にもなり良いものがないからです。


それより、ねずみの対策や鶏へのストレス軽減に意識を向けることが重要というお話です。


ネズミは様々な汚染をまき散らす小動物と言われます。そのためにも巣を見つけ破壊し巣を作らせない環境を整えなければなりません。

 

しかし農場には高いところに巣をかけるクマネズミが主流のはずです。
手を入れるような場所に巣をかければ良いのですがそうでない場合もあります。

相談いただく農場もその点に不安があり周辺の対応等助言をして対策を講じるような手法を提示しますが、本当に苦労されることと思います。


衛生意識が低い従事者である場合の多くは、何もできないから何もしない又は手が届かないから周辺に粘着シートを付設すればよいという、対処療法にしかならない方法を取り、はみ出したネズミだけを捕らえて満足しているところもあります。


意識がある農場は、できることを考え対策を講じています。

 

この差が衛生管理の差となり生産性や保菌の有無を分けるのかもしれません。


鶏へのストレス軽減も大事です。飼料コスト削減のため温度環境を操作しコストを下げるというところが今は一般的です。

しかし多くは猛暑のような環境を作り結果生産性の低下や斃死というバットエンドとなるような構図になるところも多く、技術の保有が低い農場ほど功を奏していないと言えるのかもしれません。

 

また、サルモネラワクチンを接種している農場が多いのが実情です。つまり鶏が保菌するリスクをかなり軽減されるわけです。


しかし先の調査では、サルモネラワクチンを接種していると回答した無窓鶏舎58%と開放26%と2倍以上の差があってもワクチンでどうこうなっていないと言う結果があります。


つまり、保菌した汚染でなくそれ以外の要因で汚染しているということです。


それを裏付けるための質問では、強制換羽を行う63農場のうち38農場はサルモネラ陽性農場という結果であり、鶏の健康次第で大きく汚染するような可能性もあるのです。


農林水産省の調査では、今回の調査農場市販の鶏卵からは卵殻に0.3%のサルモネラが汚染されていると言う結果があります。インラインGPセンターの衛生問題もありますが、農場でも汚染があると広がりその鶏群以外にも伝播しかねないと言う警告でもあるといえます。


衛生管理の基本は衛生管理をするということと捉えてしまうかもしれません。しかし本当の衛生管理の基本は、なにが衛生的になるのかそして何ができるのかという考えを持って取り組むことだとつくづく感じます。

 

ある農場では、鶏糞の排出機能にトラブルがあり7日、10日平気で鶏糞を貯留するところがあります。

アンモニアガスで目がしみてしまうのですが、農場担当は「そうですか? ガスぐらいで鶏はどうこうなりませんし、修理業者が来ないから仕方ないですよ」と言います。

確かにその通りでしょう。修理ができないからガス臭くても良い。なにしろ当の本人は、夕方には帰宅するのですから。しかし鶏たちはそこが自宅です。一緒に1ロットを自宅に招き入れてくれればよいのですが、その鶏たちは目がかすみ息苦しい中昼夜を過ごし、産卵というストレスを与えている状況です。

 

ご承知の事でしょうが、人が不快と感じた場合のアンモニア指数は25ppm以上ある可能性が高いということです。

この数値では、呼吸器が弱い鶏には病気を呼び起こすに十分な数値になるのです。

後は、ワクチンで十分跳ねのけるような抗体を獲得しているのか又は健康な鶏なのか。

それが病気誘発するのかどうかわかれるのです。

 

呼吸器病は、鶏舎全体に一気に奇声を上げることはないのは経験者であればわかるはずです。

特定の場所から始まり徐々に全体に広がる。又は転々と鳴き始め広がっていくということもあります。

つまり、免疫の状況、健康状態、感受性様々な要因で始まるのです。

そして、重篤であれば生産性の低下となるのでしょう。

 

ここまで解説してお分かりだと思いますが、衛生管理の基本である「良い空気」になっていませんよね。

 

しかしガス臭ぐらいで影響がないと言えるその発想も大変ある意味感心します。

優れた経営者は、アンモニアガスからくる産卵低下の怖さを知っています。

だから、環境が崩れたときはまずは換気を優先しそのリスクを回避するのです。

 

それを知らない又は知っていても数値に現れないから平気という考え。

数値がすぐに表れた事故の場合は、正直管理者として大きな失態を犯しているといえます。

数値に現れるのは、なんであれ数日後であるのが一般的です。

 

わかっていて、平気であると言えるのであれば管理者として自覚が十分でない可能性が大きいと言えます。

繰り返しますが、衛生管理の基本は掃き掃除だけではありません。

それは当たり前の基本作業であり、ねずみ対策や換気作業も衛生管理の一つです。

 

そのためには、考えてもらうことが重要なのですが、その素材を提供できなければ何もできないのは当然ですし、農場によりましょうが考える力が少なくなっている場合はそこを補うような技量があることが大事なのかもしれません。


最終的には管理者・従事者次第になってしまいますが、その管理力は個々により大きく異なると言うのは間違いないことです。

 

高額で整備したウインドレス鶏舎。

できれば最高のパフォーマンスで建設費の回収と利益を上げてほしいものですが、一歩正常でない状況になったときは容赦なく脅威に変わり、それを回避できるような技量が求められると言う現実。

それにはシステムの特性と問題点を考慮しなければなりません。

多くの方が言う、ウインドレス鶏舎の管理は容易であり機械の読み取りが主作業であると言う正常時の対策がいつもあるという錯覚。


考えてもらい、行動できることがとても大事と感じるウインドレス鶏舎の管理。

その考えることが出来るのが、衛生管理の基本に発展するのでしょう。