nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。

重量取引と定重量(個数)取引 鶏卵流通の今

 

鶏卵は農林規格により取引されていますが、2000年初めから1パックに定めた重量を入れる定重量パックが多く見られるようになりました。


重量取引とは、規格(M、Lといった6gクラス分けの重さにより区別される)ごとに取引値が決まるもので、需要の過不足が生じると値段が上下するデメリットがありました。


現在も変わりませんが、消費者は大きい卵を好む傾向があるため、LやMサイズの鶏卵を目標に飼養管理を行い需要とマッチングを図ることが経営の第1とされる農場も多かったと思います。


しかし生産者から見ますと、生産コストはサイズ関係なく同じであるためできるだけ鶏卵の価格は同じであるほうがよいという意見があり、定重量(ミックス卵)が多く見られるようになり量販店での取り扱いが増え消費者に認知されるようになりました。


定重量取引は、個数取引と呼ばれ1個の鶏卵はサイズ関係なく同じという性質があります。

ですから経営側から見ますと高い取引があるクラスの鶏卵を生産すればよいのかもしれませんが、工業品と異なり規格を統一した生産はできません。


平均卵重61gの農場とした場合、規格ではMサイズ(重量58gから64gまで)となりますが、平均ですからばらつきます。
ばらつきが少なければ良いのでしょうが、現実は不可能です。

鶏個体差があり鶏卵を金型に入れて生産しているわけではないからです。


実際は農場により大きく異なりますが、一例としてMサイズは全体の57%といわれます。次いでLが21%、MSが20%となり、SやLLが各1%程度存在すると言われます。


価格の有利な重量区分に多く収まれば経営に大きく寄与しますが、日齢が進むごとに平均卵重も大きくなり平均63gというところもありましょう。
この場合も、平均ではMサイズですが、現実はばらつきがありMサイズが45%、Lが35%、MS13%、LL6%となります。


このように、平均では見えませんがサイズのばらつきが当たり前の生産量となるため目当ての重量を維持する生産は技術がいると言われ、全ての生産者が出来るわけではありません。
多くは餌の配合を変化させたり、体重増加を抑制して卵重増加を緩やかにする技法が確立しましたが、多くは鶏へのダメージを与え必ずしも成功したという話はごくわずかというのが現実でしょう。


ですから、種鶏メーカーは日本で好まれるような品種改良を進めており開発して数年後、生産側から「変わったね」という話が出始めます。


そのような背景の中、鶏卵取引は規格取引と、定重量取引が存在し生産者への安定した利益をえる方法が確立されました。
では、それぞれどのようなメリットがあるのかデメリットがあるのか考えて見ましょう。


まず重量取引ですが先ほどのように一般的な取引であり主流でもあります。

しかしサイズにより過剰卵が発生するため利益に変動が生じます。
産卵重量が多い場合は飼養摂取量が多くなりますが利益が高いと言われます。(餌代を下回る鶏卵取引はほとんどないため)


一方、個数取引では飼料摂取量が少ない場合では重量取引よりも利益が高いと言われ鶏種選びが重要ですが販売方法によりこのような影響があります。
(餌代が少ない場合、多くは小ぶりの鶏卵が生産されますが、1個の鶏卵価格はどのサイズでも同じであるため変動しないメリットがあります)


それぞれには、このようなメリットがあるので、個数が良いという意見もあることでしょう。


しかし、デメリットも存在します。


重量取引である場合、過剰卵発生がある場合はその分利益を押し下げるという原則があります。
一方、個数取引では、定重量パックの平均卵重(一般的に59g)よりも大きくなる場合は不利になる傾向があります。つまり1パックは580gから610gで収まるようになっているのでMやLサイズに近い鶏卵は、重量取引のほうが有利に働く可能性があり飼料摂取量が少ない場合でも、引き取り単価の高いほうが有利になります。


群馬県畜産試験場では2008年にこのような試験を行い農場での選定に役立てる研究を発表しています。


現在の飼料要求率は多くの農場で1.8から2.0が多いと思います。
つまり卵1キロ生産するためのえさの量は1.8㎏から2㎏というわけです。

1.8を下回るところはそう多くはないかもしれません。


この場合の多くは生産量(個数)が少なくなる傾向が多いため重量取引では若干不利となり、個数取引では個数減少により不利になり可能性があります。


逆に2.0を超えるような場合の多くは、餌を多く必要とする傾向のため、鶏体が重く卵重も重い傾向があり、重量取引では有利に働く可能性がありますが、個数取引では1個の単価が同じであるため必ずしも有利な価格で取引されるとは限りません。


実際、店舗での鶏卵販売はミックス卵(定重量)と規格鶏卵(MやLサイズ)とは価格は異なり、ミックス卵は安く販売されている傾向があります。


また、現実飼料要求率は多くの農場で1.8から1.9程度が多い(特に白)と感じますので飼料摂取量はよほどの鶏種でない限り又管理や疾病の有無により増減ありましょうがどこも同じと感じます。


つまり、摂取量の少ないことによる有利不利は、農場で左右される要因にはなりにくい傾向が進んでいるように思います。


それだけ鶏種の改良が農場サイドにこたえるようになりつつあるということです。

 

今後、鶏卵取引は自社GPがあることで個数取引に向いている、原卵出荷であれば重量取引が向いている等納め先や販路の希望で決まることでしょう。


販売先は、消費者の希望に沿う納品を希望しています。

ですからすべてがミックス卵にはなりませんし、すべてが規格重量卵の販売もしません。


しかし、消費者は大きい卵を好む傾向は今も変わりませんので、低価格販売にはミックス卵が良く、消費者にこたえる場合は重量取引卵がよいのでしょう。


但し、ミックス卵には580~610gという幅があるとはいえこの基準を満たしますし、大小デコボコする鶏卵は見栄えから好まれません。


また、小ぶりの卵が10個入ると消費者にはあまり好まれません。


この場合小玉ミックスとタイトルをつけて販売することもありましょう。

この場合の多くはさらに低価格になり特売でよく使用されます。


販売方法は、農場により検討される大事な要素です。

鶏種の選定で飼料摂取量が変わり、卵重の大小があります。
鶏種の選定は経営に大きな影響をあたえることでしょう。