nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

ハシブトガラスから高病原性鳥インフルエンザが確認されています 一層の警戒と見回りをお願いします

北海道で20日根室市内で回収されたハシブトガラス3羽からH5亜型の高病原性鳥インフルエンザが検出されています。
根室市によれば、26日時点で家きんの異常を認める報告や回収地点から半径3㎞の区域内の立ち入り検査を実施する農場はないことを確認しています。


主に肉食性であるハシブトガラスは、街中や公園の森等を生活圏にしており街中のカラスというイメージがあります。
ですが、東京の新宿や渋谷のような大都市圏を生活圏だけにしているわけではなく、郊外でも散見され東京でしたら三鷹市や西側地域等でも確認できます。
皆さんの地域の農場近くにある繁華街等人が多く集まる場所ではハシブトガラスが存在しているのも事実です。


今回は、北海道の根室市ハシブトガラスから検出されています。

ですから大都市圏だけの話ではないのです。


このように、人が多く集まる地域外に農場運営されているとしても半径数キロメートルの範囲には農場が該当するのも普通のことでもあり、感染経路が特定できないのがこの鳥インフルエンザの怖いところです。


うちの農場にはハシボソガラスしかいないよ という方もいるでしょうが、ハシボソガラスは植物質の餌を好むことは知られていますからそう思うのでしょう。

ハシボソガラスは道路をウオーキングして餌を食べる姿もよく見ます。


ハシボソガラスがつい最近まで都市部を生活圏にしていたことはよく知られています。ですがハシブトガラスに追われる形で都市部より郊外を生活圏にしていますので縄張り争いが静かに進んでおり郊外だから、田舎だからハシブトガラスの影響は受けないということはありません。

 

さて、このようにカラスが鳥インフルエンザに感染したということは、農場敷地に何らかの形で飛来する可能性を意味します。
鳥インフルエンザの要因に渡り鳥が日本に飛来し小動物等が感染して農場へ運ばれる場合や車や人がウイルス糞等を運び農場に持ち込まれる可能性等が要因として考えられています。


いずれも農場敷地内に存在するというより、農場施設内に持ち込まれるようなイメージになります。


カラスが鶏舎内に侵入することはまずありません。

カラスは知能が高く警戒心が強いためでもありますが、鶏舎より堆肥舎や家きんの死骸保管場所の方を餌場にしやすいというのが理由と思われます。
堆肥舎にカラスが集まる図は皆さんも見たことがあると思います。

新鮮な鶏糞や鶏卵の殻といった食べ物をあさる姿はつい最近までよく見る光景であったと思います。


昨年経過措置が満了したことで、飼養衛生管理基準では堆肥舎や家きんの死体保管場所や餌保管場所には防鳥ネットを取り付けて野鳥の侵入を防ぐ措置を講じることになっています。
多くの農場では設置が完了されていることと思いますが、設置して定期的に点検をされているのか今一度確認をしてください。


材質によりますが、ナイロンような材質ではすぐに劣化はないのですが、作業者が引っ掛けて切ってしまい野鳥が侵入する事例もあります。また扉の開放が長すぎることで野鳥やカラスが食事に来る農場も見ます。
必要最小限のたい肥舎の扉開放を意識づける必要があります。


多くの場合野鳥がいることで糞便が敷地内に落下していることが多く、踏みつけてそのまま鶏舎へ入ることはないにしろ汚染物をつけて歩き回る危険性が高まります。
鶏舎と敷地外との区別がしっかりできていれば人からの持ち込む危険性が下がりますが、汚染した敷地は小動物が触り鶏舎へ侵入する危険性を増加させます。


ねずみが一般的ですが、多くはクマネズミですから侵入したら高所へ移動してしまい人から見えないような状態になります。
ですからネズミがいない鶏舎と錯覚されてしまいます。


このことからも鶏舎の周辺には消石灰等を散布して高アルカリ性で消毒することが重要になります。また厚く散布すればよいと言わけでなく大事なのは何回も散布することです。
1週間に1回又は2回出来れば一番良いと思いますが、農場の人員配置もあることでしょうから出来るだけ間隔を長くしないように定期的に実施していただきたいと思います。


屋外の散布は時間の経過とともに高アルカリ性が失われます。

ある試験ではpH12以下になるとウイルスへの効果がかなり失うというデータもあり、継続していくことが重要である根拠になります。


こう考えますと、皆さんの農場で行う作業は実は大事なことであることがわかります。
相手は見えませんから、農場の意識が継続していなければ意識が低くなり侵入を許してしまうことにもなりかねません。
見えないからこそ、最大限の警戒を続けて頂きたいと思います。