nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

野鳥から鳥インフル宮城県で検査中です 今のうちに課題を見つけましょう

宮城県栗原市で発見された野生のマガン1羽の死骸を簡易検査したところ、A型の鳥インフルエンザの陽性であったと発表しました。 現在国の検査所で高病原性なのか、亜型等について検査を続けており、数日中には判明します。 県によれば、5日時点で県内の養鶏場では異常の確認は報告されていません。 野鳥からの鳥インフルエンザの検知が見られるようになりました。 9月25日神奈川県伊勢原市で衰弱して発見(のち死亡)されたハヤブサからH5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザが検出されています。 例年11月ごろから、野鳥からの検出が話題になりますが、本年は9月下旬からと比較的早い感じがします。 まだ宮城県の検体が陽性確定ではありませんが、少し気になります。 昨年の鳥インフルエンザは12道県25事例で189万羽の防疫措置となりました。野鳥の検出は8道県107事例とハシブトガラスが多く、オジロワシオオハクチョウが多いようでした。検知開始は九州地方で11月8日のねぐらから検出が始まり、1月から北海道の広い範囲から検出されていきます。 家きんは11月10日の秋田県から始まり、13日の鹿児島県、17日の兵庫県、12月に愛媛県と西日本地域に限らず広い範囲で被害が発生します。 本年最後の検知となる5月14日網走市で終わるのですが、例年より長い期間の発生が特徴でした。 疫学調査結果では、鶏舎の出入りに長靴の交換がないといった衛生対策の不備、鶏舎の破損による野鳥の侵入や猫、ネズミが鶏舎に侵入しやすいという事例が認められているとし、調査時には不備は認められなかったとしても、侵入しやすい可能性はあることから、要因として考えられるとしています。 本年は渡り鳥が帰り感染源がなくなるにしても、5月までインフルエンザが継続したことには、野鳥のカラスの感染がかかわっているとみられるとされます。 今年はどのような時期を迎えるのでしょうか。一部の県では鳥インフルエンザ発生への警戒が高まっています。 長崎県では、9月30日県内の養鶏場に対し金網の点検、消毒の徹底を通知しています。また鳥取県も同日野鳥の監視数を70か所と2倍に増やして対応し、農場に注意喚起をしています。 静岡県も10月4日県内の養鶏場に対し消毒の徹底を呼びかけ、異常を発見したときには早期の通報を再確認しています。 鳥インフルエンザは例年発生するような傾向が見られ、令和2年のように大規模発生もありえます。 参考までに令和2年は18件52事例で987万羽の防疫措置がありました。 11月5日の香川県から始まり、福岡、宮崎、奈良、広島と西日本地域で見られ、12月には千葉県の116万羽、茨城と東日本でも発生し主要産地の大規模農場で被害が見られ甚大化していきます。 最後の検知は3月13日の栃木県となりました。 野鳥では18道県58事例となり、10月24日の北海道ハヤブサから始まり全国的に検知されていきます。南東北から関東甲信越、西日本地域と広い範囲となります。 一般的に野鳥の検出が始まるとその地域とは言えませんが、農場への影響が見られます。 つまりまもなくどこかの農場からウイルスの検知や防疫措置の話題が出始めるともいえます。 それは、うちの農場ではない話という方が多いでしょうが、発生した農場の方々も同じことを言います。 つまり見えないものだからこそ油断が分からず知らないうちに発生していたというのが本音なのでしょう。 業界内では、人が運んだから、西日本の移動業者がグループ内の農場で発生したといううわさも聞きました。 ですが、それは憶測であり科学的ではありません。 推測は何とでもいえるのです。一昔前にはバイオテロであるという方もいました。 先ほどのように、疫学調査報告でも指摘していますが、農場側の衛生対策の不備や設備の不備が起因となることもあり得ます。 うちはウインドレスだからネズミや猫なんかはいらないし、野鳥なんて侵入しないという方もいました。 ですが、農場を見てみますと、ネズミはいますし、猫はバーコンを伝って出入りしています。野鳥は扉や鶏舎搬入シャッターが解放していて侵入していたというオチもあります。 窓がないから侵入できないという思い込みが油断を招くという事例もあります。 人の消毒も不徹底では外で履いた長靴を鶏舎でも履き続けるという農場もあります。踏み込み消毒しているといいますが、 見ますと、踏み込み消毒を避けて鶏舎へ入る作業員も存在します。 つまり、消毒しているから安心ではないということです。(実際は消毒設備はあるだけという話で、しているというわけではないという話です) 厳しいことを言いますが、私も作業員だった時代は真面目に消毒を徹底していたという自負はありません。ですからわかるのですが、人は視線を感じないと、時間がないとか、めんどくさいといった理由で、 消毒しないということもあるのです。それは従業員の意識の問題なのかもしれませんが、そのようにならないような組織を作ることが大事なのです。 ですが、多くはやらない○○君が悪いと他人の出来事だけをクローズアップし、根本を見ません。 見ないではなく見えないのでしょうが、人は皆さんが思うほど真面目だけでは解決できないという根本を押さえておく必要があります。 時間がなければ省略、人がいないし忙しいので省略というのは従事者皆さんあることであり、問題はそのような環境にしておくことを問題にしない農場や組織があるのです。 ある発生農場は作業者が不足しており、飼養羽数10万羽を超えても1名が鶏舎管理をしており十分な対応ができないところで鳥インフルエンザが発生し殺処分されていきました。 ですが、農場主は何で発生したかわからないと首をかしげています。 ですが、よく見ますと設備はあるが機能しない、ウインドレスだから大丈夫といった人の甘さが根底であることが調査で指摘されます。 つまり、鳥インフルエンザ発生は天災なのでしょうが、一部は人災で発生することもあり得るのです。 農場を見直してみれば、防げる事例もあります。この時期は衛生管理の課題に関するご依頼をいただきます。 多くは、設備はあるが人の問題や組織の問題という表面では見えない課題が発見されることもあります。 まもなく鳥インフルエンザの流行期になるのかもしれません。その時、消毒していればよい、金網が破れていなければ良いだけではなく、足元を見てさらに奥深い課題を早いうちに解決して流行から鶏達を守っていきましょう。