nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

養鶏場2農場で高病原性鳥インフルエンザが発生しました 本格的な消毒措置を講じていきましょう

■28日岡山県倉敷市の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザが発生し17万羽の殺処分を開始しました。 現在県職員と自衛隊員延べ各150名が措置を講じています。 農林水産省の報道では、27日該当農場から死亡羽数が増加している旨の通報を受けて、移動の自粛を要請し立ち入り検査を実施しました。 簡易検査の結果鳥インフルエンザの陽性が判明し、遺伝子検査を行います。 翌日28日高病原性鳥インフルエンザの疑似患畜であることを確認し、午前7時より防疫措置を開始しました。 15時時点の防疫措置状況は、17万羽のうち19368羽が殺処分しており進捗率は11.4%です。 移動制限区域は2農場が該当し抗体検査を実施しており、検出があるか確認を進めています。なお異常は報告されていません。 搬出制限区域は6農場が該当し、現時点では異常がないことを確認しています。 (岡山県防疫措置状況第2報) なお、影響を受けている合計8農場の合計飼養羽数は112万羽となる見込みです。 令和4年度の発生は1例目になります。また11月頃から見られる農場発生より早い傾向があります。野鳥からの検出も例年より早く、警戒を高めていたところと思いますが、その後北海道でも発生が確認されています。 ■同日北海道厚真町の肉養鶏場(17万羽飼養)において、高病原性鳥インフルエンザが発生し約17万羽が殺処分されます。 北海道の情報では、27日14時70羽の死亡がある旨通報を受けて、家畜保健衛生所が立ち入りをし簡易検査を行い陽性を確認しました。 石狩家畜保健衛生所に鑑定材料を送付し、再度簡易検査を行い22時陽性を確認し、確定検査を実施します。 本日7時確定検査結果陽性を確認し農林水産省と協議し高病原性鳥インフルエンザの疑似患畜と判定されます。 移動制限区域には2農場32万羽が該当し、搬出制限区域は3農場38万羽が該当します。道の予定では殺処分に5日間を予定しています。 対応職員には道職員360名が対応し、3チームの編成で120名が交代で対応していきます。 北海道知事は同日農林水産省副大臣に対し防疫措置に関する財政支援の拡充等を求める要請書を手渡しています。これにより今年度発生2例目となります。 今後、国の疫学調査が待たれますが、家きん舎内用の長靴への履き替え、手指消毒・手袋の交換を確実に行う必要性の再認識をしていきましょう。疫学調査総括によれば、 「ウイルスが家きん舎周囲に存在している可能性を念頭に、家きん舎外で使用した長靴や手指にはウイルスが付着していると想定し、家きん舎への立入時には必ず家きん舎内用の長靴への履き替え、手指消毒及び手袋の交換を行う。疫学調査では、履き替え場所や家きん舎内用長靴の置き場所を明確に区分しておらず交差汚染の可能性が否定できない事例が確認されたことから、外用と内用長靴が交差することのないよう履き替え場所をスノコ等で物理的に区切るとともに、内用長靴は使用する度に洗浄消毒し、清潔な状態で保管しておくことが重要である。なお、外用と内用長靴の交差汚染防止に踏込消毒が用いられることがあるが、土等の有機物により消毒液が不活化されるなど有効な消毒効果は長期間持続しないことから、消毒液の頻回の交換、消毒前の長靴裏の洗浄および靴裏だけでなく長靴の甲までの消毒を心掛けるとともに、踏込消毒のみではウイルスを完全に除去できないことを念頭に、踏込消毒を過信せず、長靴の交換を徹底するとともに動線が交差しないようにすることが重要である。また、家きん舎に複数出入口がある場合、使用頻度が低い出入口においても上記の対策を徹底することが重要である。」としています。 目の前に危機が訪れています。例年以上の発生も予想されており、今からでも対策を講じていただきたいと思います。無関心で無知ではこの危機を乗り越えることも難しいと感じます。 一昔前と違い、発生農場への風当たりはなくなりましたが、周辺農場に対して出荷が停止したり廃鶏スケジュールが変更し混乱することもありますので迷惑をかけてしまうと感じる発生農場もありました。 意図的に発生させることはないにしろ、結果的に疫学調査結果にはネズミや鶏舎の穴等侵入を許すような指摘を受けてしまう農場も散見されました。基本を守りできるだけのことをしていきましょう。 発生した農場の方皆さん思うことですが、衛生管理には悔いのない管理をするべきだったといいます。皆さんも他人事と捉えず明日は我が身という可能性もあります。北海道と岡山県だけの話題ではありません。 例年そうですが、広い範囲が発生農場として計測されています。地域による偏りはあまりないというのが現状で、全国どこでも発生してしまう状態です。 そう考えますと、やはり他人事とは言えません。「悔いのない管理をすべきだった」と後悔しないためにも、全力で衛生管理を行いましょう。