nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

1月の相場を振り返る 養鶏の予測

令和2年の1月は、養鶏の皆さんにとって安堵が広がった月ではなかったでしょうか。
初市は、M基準値160円で始まり31日は180円と平均170円となりました。
昨年は100円で始まり末日は145円と平均123円程度でしたから、損益分岐点は農場まちまちでしょうが、概ね安心であったというところもありましょう。


しかし、昨年の低相場によりご苦労された農場も多く、また災害により運営の見直しを余儀なくされるところもあり、また体力がなくなり、廃業等市場から撤退というところもあります。


今年の相場は昨年の災害による供給の低下と言われます。また餌付けの減少から需要に対応できないというのが一般的です。
しかし、一部は供給の低下による影響は昨年までで、本年の相場は別要因にあるとささやく方もいてうわさが飛び交います。


加工筋の買い受けが年始そうそうあり相場が崩れなかったといわれますが、小売りやサービス業の正月休業による買い付けの減少、暖冬による鶏卵の季節的需要の緩み等も問屋筋より伺います。
2月は恵方巻需要があると言われますが、農水省が推進していますが食品ロスを意識した取り組みが進んでいることから、例年以上の廃棄量を想定した生産を行うとは考えられません。


このこともあり、外食や中食に期待したいところですが、最近の新型ウイルスの話題次第では今以上の需要があるのか少し心配です。

 

過去もそうですが、相場高=需要が旺盛での現象
と言えない事象が見られます。


現在M基準値は180円です。引き合いが強いと言われましょうが、一部問屋は売り先の受注減少により在庫を抱えるというお話を受けます。
その結果、農場とGPセンターまでの箱やアメリカントレイの返却遅延が発生し農場もうすうす感じるのです。
相場高は消費者にその全額を負担することはないにしろ、10個250円、300円と言われると消費の減退が心配です。


2月にかけて季節需要が進むため相場は上がる傾向が例年あります。


しかし暖冬と言われ、2月も比較的温度が例年以上に高い確率であるといわれている状況では、学校給食等の大口需要依存とは言いませんが販路が心配です。


養鶏では、今月廃業を決めた養鶏場もあります。ブログにも紹介しましたが昨年から息切れをおこし始めている養鶏家もいらっしゃるのは事実です。


今回の廃業では過去鶏インフルエンザ発生による影響を受けて再起を図っていたものの、思うほど収益が回復できず結果市場から撤退を決めたという流れのようです。


実際、過去のインフルエンザ発生により農場は販路が一時的にしろ停止となり、販売店は代替品を導入し、再開したとしても代替品と入れ替えることの難しさはあります。
ブログでも紹介しましたが、鶏卵農場は星の数ほどあり代替入手は容易です。

このこともあり、資金力(農場の現金保有か金融機関との良好な関係)がない農場は、予後は比較的厳しいと言われます。


何回か紹介してますが、金融機関(特に地方銀行)は体力的に見て限界と判断した企業を救済する義務はありません。
国の政策により救済は進みましたが、それでも思うほど回復が見込めない企業には、今後市場撤退もありうるとレポートを出しているところも多くあり、今後は少しづつ倒産が増加すると報告しています。
これは畜産業は例外ということはありません。


販路の縮小は、ゆくゆく事業の持続を困難にします。
この点を意識した農場は堅実な事業を展開しています。

付加価値を自社製品に求めたり、生産性向上のため人への教育をしたりと、建物に投じることよりソフト面に資金を入れる方もいらっしゃるのです。


生産性の向上なんかないと言われたこともあります。


しかし、よく見ますとひとりの作業者はこの作業はできるがこれはできない。考えることが出来ず単純作業はできるが、よくするための方策を示せず単純作業者が多く結果人を多く必要とすることから、外国人技能実習生を採用し最低賃金での労働でコストを削減していると考えていることもありましょう。


生産者は鶏です。ですから人は関与していません。

だから人への投資は不要で単純作業ができればよいという発想で進めている農場の一部は、生産性は優れず売り出す卵の数が少ないことから、思うほど収益を得られず、低卵相場もあり仕方ないとあきらめるのだと言います。

相場が高ければこんなのすぐに相殺するからいいのさ。と楽観的です。


餌付けが少ないということは後に供給が少なくなり相場高になるという発想です。

しかし、需要も少なくなっていることも忘れてはいけません。


鶏卵は季節要因に左右されます。暖かくなるほど需要は減退し、寒くなるほど需要がある(その時期に大きなイベントがあるためとも言えます)という原則は今も昔も変わりません。
変わるのは、季節要因による相場高又は低下となります。


1月の相場は平成29年の相場に近い展開でした。ではこの2月も同じで平均を見ても30円は高くなると言えるのか。そんな需要があり供給は不足しているのか。
それが明らかになるのは2月末の頃でしょう。


今年は相場高となるという方もいます。

堅実な農場運営は災害や鶏への異常を解決する能力を持っています。

そのためには単純労働者が多くいる農場が有利なのか、それとも能力ある人員がいる農場がいるのか。


養鶏は今年の流れが今後の流れを占うそんな1年になるかもしれません。


今年は、野鳥からのインフルエンザ検出は報告されていますが、農場発生はありません。継続していく衛生対策も同時に進めていかなければなりません。夏は災害への備えが必要になるのかもしれません。
常に考え続けることが大事な時代になのだと感じる毎日です。