nogutikusan’s diary

畜産と共に歩む20有余年、今の養鶏の課題や考えをお伝えします。 のぐ地久三事務所養鶏部公式ブログ

鶏卵相場の下降が始まり 代替品に関心が寄せられるような時期になりました

全農鶏卵相場は6日東京と名古屋の市場ですべての規格で10円安となる相場を発表しました。 最高値となる350円(M規準値東京)からみるとまだ20円の引き下げにとどまっています。 少し前より相場値は安くなっていますが、この時期特有の需要減退期と鳥インフルエンザからの回復期が重なっていることも要因になります。 大口需要の学校給食も間もなく終わり、8月いっぱいまで需要はなくなります。 例年の鶏卵相場であれば給食がないし、相場も温度上昇とともに下がるからこの時期に廃鶏に回すという農場も多いと思いますが今年はどうでしょうか。 さて、配合飼料は下がっているという話題は聞かれていると思いますが、一部飼料メーカーは値上げに転換したところもあります。 飼料の原料は下げ止まりの傾向がありますが、製造・輸送コストとなるエネルギー価格は上昇をしておりここで転嫁する必要があると判断したメーカーもあります。 ですから、餌代が安いから利益もその分あるはずとは言えない状況の中、例年通りの相場安へと流れが変わり農場経営も安泰とは言えないのかもしれません。 その中、鶏卵に対する消費者のイメージは変わり昔は安い物、今は高い物というイメージがつくようになりました。 1パックの総務省小売価格統計調査での平均販売価格は5月時点で305円となり、過去最高を更新しています。 6月も同額か少し高いとなりますが、過去最高額であることに変わりはありません。 1個は30.5円ですが、10個まとめ買いとなりますから305円と言われるので高いと感じるのではないかと思います。 また加工向け供給も遅延していましたが、輸入による効果もあるのでしょうか遅延は解消されつつあり加工商品の再販売開始と言う話題も聞かれるようになりました。 そして、消費者に近い位置にあるスーパーでも代替卵を扱うようになり、テレビも紹介しており代替卵が認知されつつあるようになりました。 コンビニ大手ローソンは代替卵を使用した卵サンドを販売します。 食べ比べのセットとして販売しており、鶏卵と大豆由来の代替卵をセットにしています。 商品名は「食べ比べ!2種のスクランブル」です。手に取った方もいるかもしれません。 商品開発には「鶏卵高騰により代替卵へ手に取る機会を作り消費者に知ってほしい」「鶏卵不足の長期化を見据え代替卵の商品に力を入れていく」という考えがあります。 さて、代替卵は高額であり普及しないというイメージがあると思います。 開発部門も植物由来食品の市場は伸びてはいることを承知していますが、まだ普及は遠い状態であるということを知っていて、代替卵というものに対してハードルを下げたいという思惑があります。 私自身もすぐの普及はないと考えていましたが、今回の高騰は毎日使うものであり普段品であることから供給が遅延することで商品提供に支障が出ることがメーカーも知ったのだと思います。 であれば、安定供給と適正な仕入れ価格を維持するためにできる手段を構築したというのが本音ではないかと感じます。 少し前にお話ししましたが、加工筋はいかに安定した仕入れができて商品として組み立てて提供できるのかという意識が最優先です。 ですから今回のように原料の遅延と高騰は商品価格見直しに直結し、場合により店舗に潤沢に供給できないことで欠品とすることによる損失もあり、その防止策を構築します。 国産は安全であり安心できるもの、だから顧客は離れないし代替品はないと考えているのは生産者側だけであるというのも現実の話です。 多くは、安全で安心は当たり前であり、安いからこそ顧客は購入を継続しているが欠品や遅延は商売上問題である、だからこそ安定供給が見込める代替品を使用した商品を開発するという流れになっているのです。 商品開発をしたということは、元に戻す必要はないということを知っておく必要があります。 代替卵はまだ高い物というイメージも供給が十分できるようになれば、大量生産という低コストも期待できるということもありえます。 そうなると、消費者は選択をすることができます。 安い物、鶏卵と遜色ない物、という買い物判断基準で購入をしていきます。 そして輸入卵と言うキーワードもありました。 全ては供給が不安になることが起因なのですが、大事な点は鳥インフルエンザをいかに農場に入れないのかという意識が、この先の販路がどうなるのかという未来を変えてしまうターニングポイントを阻止できるのではないかと思います。 鳥インフルエンザの発生は農場だけの被害だけではなく、その先となる消費者や加工向けの方々に大きな影響を与えることになりました。 であれば、消費先と安泰な関係を継続するためにも、鶏病を寄せ付けない農場を作るしかありません。 それは、防げないから、できないからではなく、絶対に防ぐ、できないことをなくすといった意識を持つ必要があることを改めて知る機会になったと思います。 鳥インフルエンザによる農場被害は、以前と違い厳しい目を向けられることはなくなりました。 だからこそ仕方ない、やむを得ないではなく、農場に入れないような仕組み作りや作業者への意識向上の教育をすることで、防ぐ意識を持ち続けていくように取り組みをしていきたいと感じます。 昨年は9月に野鳥からの感染話題がありました。 その後今回ご存じのような大流行になり県生産量の2割、3割の生産減に至るような殺処分が全国ありました。 そして今日の話題のように代替品の話題や輸入卵の話題が聞かれ、最近の鶏卵相場の低下から、鶏卵販売価格が安くなっていくというような話題も聞くようになりました。 皆さんの農場だけではなく、多くの農場が鳥インフルエンザから守るような仕組みを今から構築しておくことが必要です。 ブラジルからの輸入鶏卵は、鳥インフルエンザ発生時防疫措置完了から再度開始には90日経過を必要とすることにしていましたが、最短28日後輸入再開とすることと改めました。 これにより国内への輸入量停滞を最小限して流通による影響を最小限にしたいという思惑がありそうです。 加工向けとはいえ輸入卵に頼るという図式を作り出すような結果になっています。 鶏卵は国内で生産し国内で消費するという図に戻すためにも、この秋からの防疫対策は本気で取り組んでいくと業界内でそのような機運になることを期待しています。